延長コードを束ねたり折り曲げて使ってませんか?それ危険ですよ!
どこの家庭にも必ずある延長コード。
手軽に遠くのコンセントから引っ張ってくることが出来るので便利ですよね。
普段何気なく使用している延長コードですが、「8」の字にしたり「く」の字に折り曲げて使ってたりしませんか?
それ実はとても危険で、最悪火事に発展する可能性があります。
今回はコンセントで使用する「延長コード」を折り曲げては使ってはいけない理由をご紹介したいと思います。
そもそも延長コードの構造は?
まず危険な理由を紹介する前にそもそも論として「延長コード」の構造から見ていきましょう。
延長コードは基本的に金属の板を銅線でつないだ構造になっています。
コンセントに繋ぐと金属の板から電気が供給されて、銅線を通って電気が家電製品等に供給されます。
一般的に家電量販店で売っている延長コードは、多少の形の違いはあれど線の太さや金属板の厚みは各社ほぼ同じです。
また、形自体もほとんど同じように作られています。
銅線の太さで流せる電気の量は決まっている
延長コードの銅線の太さが各社でほとんど同じ太さなのは実は理由があります。
銅線は太さによって流すことが出来る電気の量が決まっています。
そして一般家庭のコンセント1口から供給することが出来る電気は大体1500Wまでになっております。
この1500Wは消費電力です。
消費電力は電流(A)×電圧(V)で求めることが出来ますので、一般家庭のコンセントで流すことが出来る電流は
15A × 100V = 1500W
よってコンセント1口から流すことが出来る最大の電流は15Aとなります。
極端に銅線を太くてしても、結局流れる電流は一般家庭では15Aまでですので太くした分だけ無駄になってしまいます。
また太くするとコード自体が固くなってしまい取り回しが非常にし辛くなるため太くするメリットはありません。
各社延長コードにに使用しているコードは、15Aの電流を流しても問題ない丁度良い太さを使用しているためほとんど同じような太さなんです。
自宅で使用している延長コードがあればどこかに「125V 15A」と書かれた記載があるかもしれません。
これは「125Vの電圧で15Aまでの電流を流せますよ」という意味ですので、一般家庭の100V15Aという電気を流しても大丈夫ということになります。
逆にこれ以上の電流を流すと、コードが電流に耐え切れずに火災や電気製品の故障の原因になるということです。
コードには曲げても良い許容値がある
コードの太さで流しても良い電気の量が決まっているということ、また各社それを前提にしたコードの太さで作られているということはお分かりいただけたでしょうか?
次に延長コードで使われている銅線は折り曲げる角度にも許容値があります。
これを「曲げ半径」といいます。
コード以外の電線や光ケーブルにも曲げ半径という物は存在していますので、気になる方は調べてみてください。
ここで詳しい数値を出してもわかりにくくなるだけですので割愛しますが、ほぼ二つ折りのような角度は完全にOUTです。
「曲げて使わないでください」ということは延長コードのパッケージにも記載されている通り、延長コードにはとても負担が大きいのです。
延長コードを束ねたり折り曲げて使用すると発火や断線の危険性
延長コードを束ねたり折り曲げて使用してはいけない理由は、「曲げても良い許容値を超えてしまう」からです。
銅線も金属ですから極端に曲げた状態でそのままにしておくと、金属疲労により劣化が急速に進んでいきます。
時間が経てばそこが折れてしまったり、曲がった部分で電気的に抵抗が高くなり熱を持ったりします。
さらに言うと束ねたり曲げた状態で消費電力の高い電化製品(アイロン、ドライヤー、こたつ等)を使用すると、高熱を持ち、曲げた部分が発火したり爆発したりして火災の原因になります。
下の画像は実際に実験した際の画像です。
緑背景の画像は使用中の延長コードをサーモグラフィで撮影した画像です。
白い部分は「非常に高い熱を持っている」ということを表しています。
2枚目は実際に延長コードを撮影した画像です。
熱を持ちすぎて煙が出ている状況がわかると思います。
また、接続されている家電製品をよく見ると「トースター」「ドライヤー」「扇風機」と特に家庭で使われる家電の中でも消費電力が高い家電が接続されています。
家電製品は「熱を発生させる」製品は特に電力を使います。
トースターやドライヤーの他にも電気ストーブやアイロンも消費電力が高い家電製品です。
束ねたり曲げずに延長コードを整理する方法
延長コードを折り曲げたり束ねて使用することは、火災や電気製品を破損してします原因になるということはお分かりいただけたと思います。
束ねたり曲げたりすることはダメ。でも長い延長コードを整理したいですよね?
以下のように整理すると安全に延長コードを整理することが出来ます。
長くて余っている延長コードを束ねたり曲げて整理するのではなく、「円を描くように」整理すると安全に整理することが出来ます。
こうすることでコードに負荷がかからず安全に処理することが出来ます。
ただし、気を付けていただきたいのは、本記事で紹介している円を描く整理方法が使えるのは、家庭用で使用が想定されている2m~5m程度の短いケーブルになります。
ケーブルドラムなど、数十M単位の延長コードの場合は、円を描いて整理すると密集するケーブル本数が多くなり、発熱して火災の原因になります。
数十M単位のケーブルではできるだけ伸ばして使うようにしてください。
延長コード以外にも適用できる
今回は延長コードを例に説明しましたが、ケーブル類なら大体はこの方法で負荷をかけずに整理することが出来ます。
LANケーブルや電話線、HDMIケーブルやアンテナケーブル、光ケーブルも同じように処理することで負荷をかけずに整理することが出来ます。
LANケーブルやHDMIケーブルなどは大きな電流は流れませんが、ケーブルが断線する危険性はあります。
ケーブルを長持ちさせる意味でも折り曲げたり束ねて整理するのではなく「円を描くように」整理してくださいね。
まとめ
今回は延長コードを束ねたり折り曲げてはいけない理由を説明してきました。
- 束ねたり曲げるとコードに負荷がかかる
- 電流を流した際に負荷がかかった部分が発熱して発火したり爆発したりする
- 負荷がかかった部分が断線する可能性がある
- 整理するときは「円を描くように」処理する
以上の事を覚えて頂き延長コードを配線、整理してください。
発火して火事になったり電化製品が壊れた後では遅いので、今からでも束ねたり折り曲げて整理している延長コードやケーブルがあれば「円を描くように」整理しなおすことをオススメします。
ディスカッション
コメント一覧
束にしても駄目ですが、
巻いても駄目です。
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/2567
ドラム型延長コードの火災発生は有名な話しです。
また、写真ではLANケーブルを使用していますが、通信ケーブルみたいな弱い電力なら巻いても構いません。
ただ、PoEで給電しているLANケーブルの場合は同じ条件とは言えないと思います。
電源コードは巻けばいいという間違った記載は削除してほしいです。
>電気屋みさきさん
本記事は家庭用を想定しています。
家庭用はせいぜい2mや3m,5m程度で、使用される電力も知れています。
タコ足配線等があって大電流が流れるとしても、この記事はたこ足配線をしないようにという記事ではないので前提としては考えていません。
電気屋さんが行うような100V以上かつ数十M~数百M単位だと確かに熱を持ったりするため危ないですが、家庭用の短いケーブルで大した電流が流れない状況では火災になることはないと思います。
ケーブルに損傷があった場合は別ですが。
ただ仰るようにケーブルドラムは家庭でも使用する可能性があるため、ドラム及び数十M単位の長い延長コードを使用する場合の注釈を追記しておきます。
また、PoEに関しても、規格で策定されてるIEEE802.3atでは、50Vで0.6A程度しか流れません。
LANケーブによく使用される24~26AWGであれば許容電流にも余裕がありますしそこまで問題にならないと思います。
「整理するときは「円を描くように」処理する
以上の事を覚えて頂き延長コードを配線、整理してください。
発火して火事になったり電化製品が壊れた後では遅いので、今からでも束ねたり折り曲げて整理している延長コードやケーブルがあれば「円を描くように」整理しなおすことをオススメします。」
とありますが業界では「円を描くように」整理することは危険とされています。
事故につながる危険行為だと思います。
>富田和男さん
電気工事業界では、扱う電圧も配線長も家庭とは桁違いであるため、円を描くことは危ないということは理解できます。
ただ本記事は電機業界の方が見るような記事ではなく、家庭用を想定しています。
家庭用はせいぜい2M~5M程度の延長コードで、使用される電力も知れています。
タコ足配線などで想定以上の電流が流れるとしても、それは今回の記事の趣旨とは違いますので前提としては考えていません。
よって円を描くことで火災が起きるということはあまり考えにくいです。