「高級食パン」大ヒットは約束されていた!?

雑記


ベーカリー業界で今一番勢いのある商品と言えば「高級食パン」
スーパーで買えば1斤200円程度で購入できる庶民の味方であるが、一斤900円近い「高級食パン」が飛ぶように売れている。

中には高級食パン店に開店前から長蛇の列ができ、開店と同時に一気に売れ、早い時には開店から1時間程度で当日分の販売が終了してしまうお店もあるらしい。
4倍以上の価格差がある「高級食パン」がなぜこんなに売れているのか考察した。

「高級」という単語の持つチカラ

「高級」と聞くと皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
A5ランクのお肉?銀座久兵衛のお寿司?  それともブランド品?
誰もが「高級」と聞くと普段庶民の私たちの手が届かないような物をイメージすることが多い。
だからこそ「高級」という言葉が付いているとも言える。

人それぞれ「高級」の定義やラインはそれぞれ異なるとは思うが、総じて共通しているのは「高級」という単語が付いた商品は一度「構える」という点だ。
一般品と高級品が隣同士に置かれていた場合、一般品を手に取ることに時間をかけることは少ない。しかし、高級品を手に取ることについては非常に躊躇してしまう。
この差はどこにあるのか。

私はそこに「高級」という単語の持つ「チカラ」のポテンシャルを感じている。
「高級」と同じような言葉に「プレミアム」がある。
「プレミアム」という単語も上等な商品につけられることが多いが、「高級」と比べると少し安っぽく感じることはないだろうか。
プレミアムフライデーやパチンコなどの特別な演出もプレミアムと呼ばれることが多く、いささか「高級」とはニュアンスが異なる使われ方が原因ではないかと分析する。
外来語という点もなかなか日本人にはしっくりこない原因かもしれない。

しかし「高級」はどうだろうか。
日本人であれば誰がどう聞いても高そうなイメージしか思い浮かばないし、思わず白手袋を探してしまう。
プレミアムフライデーを高級フライデーと聞いても意味が全く分からないし、上等な感じが全く感じられない。
私が単に高級フライデーと聞くと、ページ数の多いゴシップ雑誌ぐらいのイメージである。

以上を踏まえるとやはり「高級」という言葉の与えるインパクトと、一瞬で上等なものであるとイメージさせるチカラはなかなかだと今回感じている。
そんな言葉を普段何とも思っていない物に使われたらどう感じるだろうか?

「高級食パン」がまさにそれである。

食パンと「高級」合体が与えるインパクト

食パンは、外国から日本に入ってきて今やご飯のライバルという存在にまで地位が上がっている。
パンという存在そのものが現代にフィットしているという捉え方もできる。

そんな食パンだが、あくまでスーパーで販売されている製パン会社の食パンを対象にすると、みなさんの共通認識としてあるのは「安い」「大体味は一緒」ではないだろうか。
同級生に一人はいた地味な男の子が、ある日髪を染め、ピアスを付けて制服をオシャレに着こなし登校してきたらどうだろうか。
そのインパクトはジャイアント白田の新潮よりも大きいのではないか。

「高級食パン」という単語には同じぐらいのインパクトがある。

「高級」と付いていても手を出しやすい

「高級」と食パンの合体が与えるインパクトだけであそこまで人気になることはないだろう。
では他にもヒットの理由が存在しているわけだが、それは何か?

「高級」と付いたものを見た時に、多くの人が気になるのが「値段」である。
高級ブランデーと聞くと、お酒に詳しい人でない限りは値段の想像がつかない。
しかし高級食パンと聞けば、大体の人は「スーパーで売っている物よりは高いが、段違いに高くはないだろう」と思うのではないだろうか。

実際にその予想は当たっており、大体の高級食パンは値段を一斤900円弱に設定している。
大ヒットの要因の一つに、高級と言いながらも意外に安い「手の出しやすさ」があるのではないだろうか。

味もおいしい

「高級」という冠をもらっているのだから、意外に手を出しやすいだけでは役不足も甚だしい。
もちろん味も非常においしいのである。

高級食パンを広めたと言われている「乃が美」では、考え抜かれたオリジナルブレンドの小麦粉を使用し、バターだけではなく高級マーガリンを惜しげもなく使用しているらしい。
製法についても、普通に食パンを作るよりも手間暇をかけたこだわりだという。

もちろん私も食したことがあるが、そこまでこだわっている食パンがまずいわけがなく、絶品そのものであった。
ほんのり広がる上品な甘みとしっとりした生地は、何も付けずにそのまま一斤食べてしまいそうなおいしさである。

高級食パンがヒットする理由まとめ

高級食パンはヒットするべくしてヒットした商品であることが分かった。

 

ヒット要因

  • 「高級」という魅力的な単語を使用している
  • 食パンと「高級」のインパクト合わせ技一本
  • 「高級」とはいえ手を出しやすい価格帯
  • もちろんおいしい
今も高級食パンを扱うお店は増加しており、高級食パンをプロデュースする会社も存在しているというぐらい熱を帯びている。
個人的にも主食クラスの食品に関しては、少々高くてもおいしければ買い続けるので、一過性で終わらずに各お店が切磋琢磨し、おいしい高級食パンを提供し続けてほしい。